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麦茶に砂糖
麦茶に砂糖を入れる習慣があると聞いて、驚く人と、驚かれることに驚く人、様々あることでしょう。
日本ではどの地域が発祥なのか、あるいは年代によるものなのか、詳しいことは何もわかっていません。
麦茶に砂糖、あるいはシロップやミルクを入れることは、パッケージにもおすすめの飲み方としてしばしば書いてあることがあります。
栄養に関することも、歴史的背景も特にはないので、やはりこの麦茶に砂糖を入れる習慣は、国外の紅茶の文化に影響を受けていることが大きいと言うことができそうです。
紅茶は、摘み取った茶の芽や葉を乾燥させ、茶にもともと含まれている酸化酵素の働きで完全に発酵させてしまう種類のお茶です。
広範囲にわたる地域で作られ、飲まれているため、その飲み方も地域により様々なものがあります。
セイロン、アッサム、ダージリンなどをはじめとする茶葉の種類に、ティーパックなどの日常生活で一般的な淹茶式や煮出し式、煮込み式、濾過式など、抽出の仕方にも様々な方法がありますが、やはり大きく共通しているのは、大抵の場合、大量の砂糖やミルクなどで甘く味付けされているということではないでしょうか。
その理由は、単に嗜好性を高めるためというものから、味を誤魔化すため、あるいは産業革命時代、労働者の空腹を紛らわすために入れていた名残などがあります。
世界、特にアジアを旅したことがある人ならご存じかも知れませんが、お茶と言えば砂糖が入っているものという概念は広く共通して持たれているものです。
特に、お金を出して買うお茶に、砂糖が入っていないのは論外で、数年前、ガイアの夜明けでキリンビバレッジがタイの緑茶市場に生茶を投入するという企画がありましたが、やはり甘く加工した商品を販売しなければ地元企業に対抗できなかったようです。
日本ような無糖緑茶市場のシェア拡大を画策して、甘いものに加え、ロースイートと呼ばれる甘さを控えた生茶も展開していましたが、ヘルシーという観点で注目はされるものの、やはり甘いお茶に取って代わることはできなかったようです。
海外では、このような甘いお茶を支持する傾向が多々見られます。
逆に、お茶に砂糖を入れずそのままの自然な味を堪能しているのは、日本ぐらいと言ってもいい程、珍しいのです。
ではなぜ、緑茶には砂糖を入れなくて、麦茶に砂糖を入れる習慣が見られるようになったのでしょうか。
推測の域を出ませんが、麦茶と緑茶の違いを考えれば少し見えてくるかもしれません。
麦茶は、実際には焙煎した大麦の種子を煎じて作っており、茶葉を使っていないことから、本当は麦茶というお茶であることを示唆するような言い方は適切ではありません。
原料である大麦は、初夏に収穫され、その特徴である香ばしい香りが最大限に引き出せる穫れたての新鮮な大麦を使うことが良しとされてきました。
加えて、体温を下げる効能などがあることから、すっかり夏の飲料として定着しています。
ティーバッグでリットル単位を煮出し、季節柄冷蔵庫で冷やして飲むことが一般的で、カフェインも含まれていないため、特に子供用に、夏バテ防止の飲料として愛飲されている節があります。
甘みは温度が低いほど感じることができません。
麦茶の香ばしい香りやほろ苦い風味が口に合わない子供用に、苦肉の策として砂糖を入れたことも考えられます。
麦茶の歴史は日本茶と同じくらい長いのですが、生薬のような用途から始まり、茶道の高尚な文化として持ち上げられた抹茶や緑茶に対して、麦茶は屋台で売られるなど、終始庶民の生活に根付いたものだったと言えます。
茶道の簡素化されたものが調和する美しさの中では、お茶の本来の風味を味わうことに重きが置かれており、加糖は邪魔者でしかありません。
しかし、麦茶は自由奔放に庶民に愛飲されているわけですから、その制限もありません。
口当たりや飲みやすさを優先したか、あるいはちょうど産業革命の紅茶のように、ちょっとしたおやつ代わりの用途を求められ、砂糖が加えられたということも考えられます。
もともと砂糖が加えられたお茶を飲む習慣がない日本では、昔からの習慣や馴染みがないと砂糖入りの麦茶には、かなりの抵抗感があるものかもしれません。
しかし、意外と口当たりが良く、美味しく飲むことができます。
疑問に思った方は一度試してみてくださいね。